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コケ節足動物鳥が関わり合う共生系の機能と進化

今田 弓女 博士(京都大学大学院理学研究科・助教)

Abstract 

 最初期の陸上生態系が成立した頃に、コケなどの原始的な陸上植物がすでに節足動物に食べられていたことを示す化石証拠があります。私は、こうした植物と昆虫の関係の変遷への興味を発端として、現生のコケと動物の相互作用に関する自然史研究を行っています。現在は、「コケの繁殖・分散に寄与する動物」と「動物の繁殖に寄与するコケ」という、相利に発展しうる2つの相互作用に注目しています。例えば、森林の林床で形成・維持されるコケの胞子体がいかに動物に食べられ、それらによって分散されるかや、コケを巣材として利用する営巣行動が森林性鳥類のなかでいかに進化したかを調べています。コケ・節足動物・鳥の相互関係という視点から、森林生態系のなかでコケが果たしてきた役割に関する近年の知見と今後の展望をお話しします。

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