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「海から川や湖へ!トゲウオから探る適応進化の分子遺伝機構」

 

石川麻乃(国立遺伝学研究所 生態遺伝学研究室)

Abstract 

  私たちを取り巻く自然環境は、多様で、常に変動している。そして生物は、その環境に合うかのように、実に多様な形態、行動、生活史を見せる。では、このような多様性は、どのように進化してきたのだろうか?つまり、どんな発生・生理・神経機構の改変によって生じたのだろうか?それはどのような遺伝的変異によって生じたのだろうか?更には、その遺伝的変異は、どのように生まれ、どのように広がっていったのだろうか?近年、形態の違いに寄与する遺伝的変異が明らかになる一方で、より複雑な生活史形質の多様性を生み出す遺伝的変異はほとんど明らかになっていない。
 この問いに答えることができる1つのモデル生物がトゲウオ魚類イトヨである。イトヨは北半球に生息する小型魚類で、氷河期以降に出現した各地の淡水域に進出し、多様な形態、行動、生活史を持つ集団に分化している。これらの集団はまだ交配できるため、どんな遺伝的変異がその違いを生み出しているのかを探し出すことが出来る。また、ゲノム情報が利用可能で、遺伝子組み換え技術やノックアウト技術も利用できるため、注目した遺伝的変異が、本当にその形質の違いを生み出すことが出来るのか、眼の前で検証することができる。
 本セミナーでは、イトヨに見られる①季節応答性の違いと②淡水域への進出能力の違いを生み出す分子遺伝基盤について、演者らの最新の研究成果を紹介する。

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