top of page

「生態学人材育成の社会化に向けて」

相川高信(三菱UFJリサーチ&コンサルティング) 

 持続可能な社会の構築のために、生物多様性保全や生態系サービスの持続可能な利用の重 要性が認識されつつあり、生態学をバックグランドとして持つ人材が活躍できる可能性が ある社会が到来しつつあります。他方で、アカデミアを除いては、生態学を学んだ人材の 活躍の場は限られているのが実態であり、需給に構造的なミスマッチが生じている可能性 があります。
 確かに、生態学人材を受け入れる労働市場や政策制度の状況は欧米諸国と異なり、特に日 本ではその構造をすぐに変えることは困難です。しかし、人材育成システムについては、 自然科学と社会科学との融合や実践的なトレーニングを取り入れつつある欧米諸国を参考 にしながら、日本社会の課題文脈を捉えることで、改善の余地が大いにあると考えられます。
 本報告では、森林生態学を学んだ後、森林政策や森林管理の実務にコンサルタントとして 携わってきた経験に、現在社会人大学院生として行なっている社会科学的アプローチでの 研究の知見を加えて、今後の生態学人材の育成をどのように行っていけばよいのかについ てのアイデアを提示します。事例として、専門とする森林分野に加えて、共同研究を行な った都市緑地分野での取組についても取り上げる予定です。

bottom of page