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「生物多様性の分子基盤」
東正剛(環境科学院)
「遺伝的多様性」については生態学者と分子生物学者の間で大きな認識の違いが 見られる。また、生態学者の中には自然選択説と中立説の論争を理解しないまま 「遺伝的多様性」を論じている者も少なくない。少なくともタンパクやそれをコ ードする遺伝子の進化については中立説が勝利したように見えるが、生態学者と しては「不利でも有利でもない中立突然変異の蓄積」によって生物の多様性や適 応が実現したと認める訳にはいかないだろう。今回は、この矛盾に解答を与えつ つある発生遺伝学(進化発生生物学)の成果を紹介しながら、「遺伝的多様性の 分子基盤」について再考したい。以前公開講座で話した内容とほぼ同じであり、 対象は大学院生、特に修士課程学生と考えている。もう少し高度な内容に興味の ある人は、3月15日に行われる私の最終講義をお勧めする。
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