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「魚類における適応進化と種分化の再現性
(Repeatability of adaptation and speciation in fishes)」

 
山崎 曜 博士(国立遺伝学研究所・生態遺伝学研究室)

Abstract 

 類似した環境に置かれた異なる集団や種において同様の進化が繰り返し生じる現象は平行進化,あるいは収斂進化と呼ばれる.進化研究では,個々の進化イベントに反復が存在しない場合が多く,再現性や一般性に欠けると批判されることがある.しかし平行進化では擬似的な反復を比較することで科学的な説得力を強めることができる.そのため平行進化を研究することは,過去の進化現象の記載に加えて,進化の法則性の解明にも大きく貢献しうる.そこで私はこの平行進化が一体どのようなパターンで,またどのような生態学的,あるいは遺伝学的なメカニズムで生じるのかに興味を持ち,魚類において繰り返し生じた海域から淡水域への適応と種分化を主な対象として研究してきた.
 本発表では,私がハゼ科ヨシノボリ属とトゲウオ科を対象にこれまで行ってきた研究を紹介する.ヨシノボリ属では淡水化に伴う種分化が,生態系サイズという環境条件から予測可能であることが示された.トゲウオ科では種分化の後期にあるペアを解析し,他の種ペアと比較することで,種分化が急速に進む特異点がある可能性が示唆された.加えて,現在行っている,トゲウオ科における防御形質の平行的な喪失の遺伝的基盤に関する研究も紹介する.以上の内容について,EZOゼミで頂ける十分な時間を使い,研究の詳細や経緯についてもお話したい.

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