メダカの行動からヒトの行動の起源を考える
横井 佐織 博士(北海道大学大学院薬学研究院 RNA生物学研究室・助教)
要旨
「メダカ」と聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか。
小学校で飼っていた、「メダカの学校」の歌を知っている、などなど、日本人には馴染み深いメダカだが、実は東アジアにしか自然分布せず、北海道にはいないことになっている、世界的にはマイナーな魚である。そんなメダカには、行動研究の対象としてまだまだ知られていない面白さがある。「メスは見知ったオスを配偶相手として選ぶ」「オス、オス、メスの三者関係にすると、オスはライバルオスがメスに近づかないように邪魔をする」といった、どこかヒトと似た行動を示すのだ。私はこうした興味深い行動を見つけては、それを生み出す仕組みにもヒトとの共通点があるのか?という問いに答えるべく、研究に取り組んでいる。
本講演ではその中でも、オキシトシンにフォーカスした話をする予定である。ヒトで「愛情ホルモン」として知られているオキシトシンの遺伝子をメダカで破壊するとどうなってしまうのか?見知ったオスを選ばなくなる?ライバルオスの邪魔をしなくなる?といった行動レベルの話から、分子遺伝学的手法を駆使して、オキシトシンが行動を制御する分子神経メカニズムに迫る現在進行中の研究についてお話したい。
また、時間がゆるせば、その他のメダカの面白い行動や、ワークライフバランスについてもお話できればと考えている。
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参考論文
Yokoi et al. (2020) Sexually dimorphic role of oxytocin in medaka mate choice. PNAS, 117 (9), 4802-4808.
https://doi.org/10.1073/pnas.1921446117
Hasegawa et al. (2026) Oxytocin regulates TN-GnRH3 circuit maturation and mate preference through C1q-dependent synaptic mechanisms. bioRxiv.
https://doi.org/10.64898/2026.05.17.725056