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「科学哲学からみた統計学の考え方:もしも・・・考え方に重きをおく統計学の解説があったら・・・」
森元良太 博士(北海道医療大学 心理科学部)
Abstract
生物研究において統計解析は欠かせない。収集したデータから何らかの結論を引き出すにはデータを統計解析にかける必要がある。現在ではソフトウェアの開発と普及が進み、統計解析に苦心する機会が減ったかもしれない。だが一方で、統計解析ソフトが計算過程をブラックボックス化してしまい、どういった推論が展開されているのか見えにくくなっ ている。残念ながら、統計解析ソフトは何を明らかにできるかまでは計算してくれない。統計解析にはさまざまな種類があり、明らかにできることはそれぞれ異なる。モデルや仮 説を受け入れるかどうかという判断は、それを信頼するかどうかとは異なる。また、それがデータによって支持されることとも異なるし、それがより正確な予測をするとみなすこととも異なる。使用する道具を間違えると、せっかく苦労して収集したデータも無意味になってしまう。では、現場の生物学者はどうすればよいだろうか。数理統計学を学べば統計解析を誤用しなくてすむが、あまり現実的ではない。そこで本発表では、数学に極力頼らず統計学の考え方を紹介したい。科学哲学はそのためのよいツールとなる。今回は、頻度主義、ベイ ズ主義、尤度主義という考え方に焦点を絞り、統計学の考え方を解説する。どの統計を使えば何が言えるかを明らかにしたい。
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