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日周・月周サイクルが河川食物網に与える影響
朝倉 日向子 さん(京都大学大学院理学研究科)
要旨
多くの生態系において、環境条件は日周期(約24時間)および月周期(約29.5日)に従って予測可能に変動する。適応進化の結果、多くの生物種がこれらの周期に従う行動リズムを持ち、それらの種が相互作用して、生物群集が形成されている。しかしながら、日周期や月周期が群集に及ぼす影響はほとんど実証されていない。そこで本研究では、日周期および月周期が河川の食物網構造をどのように規定するかを明らかにするため、サケ科魚類と河川底生無脊椎動物からなる河川食物網を対象に、野外調査を実施した。調査は日本の木曽川上流域の源流河川において、2025年の春・梅雨・夏・秋・冬の1年を通して実施した。サケ科魚類は新月および満月条件下で採集し、胃内容物を分析することで、4つの時間帯(夜明け、昼、夕暮れ、夜)における餌消費量を推定するとともに、昼夜間および新月・満月間での胃内容中の餌生物組成の変化を評価した。その結果から、夜間を無視し昼間のみのデータに基づいて構築された食物網が、群集の複雑性や安定性を議論するための基盤情報としては明らかに不十分であることを示されつつある。本発表では、これまで得られている結果を紹介するとともに、今後の研究展開について議論したい。
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